今日は”ベンチャー企業が求められるWhy nowは中小企業にも必要な考え方”について書いてみます。

成長している事業には、その成長を後押しする市場の背景があります。例えば、タイムカードなどの勤怠管理システムが一気に導入が進みましたが、その背景には2019年から施行された『働き方改革関連法案』の影響があります。また、テレビ会議システムやメッセージングアプリなどは、コロナによるテレワークの浸透によって市場を大きくしています。配膳ロボットなどは非接触および人口減少社会に適応するために普及が進んでいます。

ベンチャー企業が投資家から求められる”Why now”

法律の改正や社会情勢の変化。そこから生まれる新しい顧客ニーズなどの流れを掴み、確実に適応できた事業は大きく成長していきます。私はそれを”時流適応”の観点から意識をしていますが、ベンチャー界隈では”Why now”として考えている様です。

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Wyh nowとは、”なぜ今だから成功するのか”という意味です。それはベンチャー起業に対する投資家からの問いであり、それに本質的な解を出せるかどうかが起業家として成功するかどうかの分かれ目になる様です。

マーケットが指数関数的に伸びる背景には、新しいデバイス・プラットフォームの浸透、新しい技術の勃興、ユーザー行動/ペイン/ニーズの変化、デモグラの変化(新しいユーザーの登場)と(産業によっては)規制の緩和の5つの要素があると書かれていました。これも時流を見る観点と同じです。

中小企業でも必要な”Why 〇〇”

これは決してベンチャー起業だけに必要な視点ではありません。経営計画を立てる際、例えば昨年度より120%成長する目標を立てたとします。そこで必要になる問いは、正しく”Why next year”です。どうして来年度であれば成功するのか?その問いに答えられるかどうかが重要になります。

地域でIT関連のシステムを販売しているOA関連の商社があります。限られた商圏で業績を上げていく必要がありますが、大切なことは”Why now”と向き合うことだと感じています。例えば、誰もが確実に業績を上げられるタイミングがあります。それはマイクロソフトによるOSのサポート切れによるパソコンの入れ替え需要です。これは強制的なニーズですが、セキュリティリスクが高まる中、修正プログラムが適応されないパソコンを利用することは危険です。そこでこれを機に古いパソコンを買い換える需要が生まれます。

これは市場の背景として確実に伸びることが分かっています。この事を予測して次年度に高い目標を設定することは理に適っています。一方で、それではその翌年度はどうでしょうか?顧客にとっては、ある意味では強制的にパソコンに対する投資を強いられた訳です。そのタイミングで周辺の不足に対しても同じく投資を終えている可能性があります。次年度は大きな投資は控える動きになることは予測できます。それにも関わらず、大きな市場の追い風があった年と同じような成長目標を掲げたとしたら、それに対する”Why next year”に経営者は答えを出す必要があります。

市場の動きと自社の強み

投資家による”Why now”の問いは、市場の動きを掴めているのか?という本質的な問いです。仮に大きな市場の変化があったとしても、それは自社の強みやリソースを活用することで適応することができるのかどうか。市場の動きと自社の強み。その両方がマッチしてはじめて成長軌道を描くことができるようになります。

先の地域商社の事例で、パソコンの入れ替えニーズがあったとしても、買い替え提案ができる顧客基盤をしっかりと確保できているのかどうか。提案する営業のリソースを不足していないか。パソコン自体の在庫確保が問題がないか。さらには何をセットで提案するかなど、売り方そのものが整理されているかどうか。そうした要素が整理できていなければ、イメージ通りの売り上げを確保することはできません。Why nowがあったとしても、その波を掴むための自社の戦略が整理できていなければ、その需要を掴み損ねてしまいます。

これから来るWhy nowなタイミング

これからの”Why now”で考えると、地域においてもデジタル化の波は確実にやってきます。コロナによってオンライン化が進みましたが、これは都心部と地方ではまだまだ差があります。都心の大手企業を中心にテレワークの普及などが進み、ワーケーションなどの新しい働き方も誕生しました。一方で、コロナによる大きな波が到来している期間でも、地方で在宅勤務を徹底しているという会社はごく少数でした。そもそもの感染者数が少なかったということと、移動の手段が車であり密にならない行動が当たり前になっていたことがあります。

都心ではコロナによるオンライン化という環境の変化によって、オンラインの環境が劇的に改善されました。結果として、そこに新たなニーズやペインが生まれており、オンラインの市場が広がり続けることで、その周辺市場も拡大していくと考えられています。

一方地方でも、これだけ国を上げて”DX”という言葉を普及してきた結果、意味は知らないけれど言葉と雰囲気だけを理解しているデジタル化の波が到来しつつあります。デジタル庁も誕生しデジタル日などの設定もあり、電子政府の流れと共に、この市場は確実に大きくなっていくと考えられます。ただ、その普及には更なる技術革新や環境の変化(規制の強化や補助金の登場など)が必要です。デジタルに対する壁は、地方や中小企業であればあるほど高くなっています。

デジタル化とは何か?デジタル化することのメリットは?年配者が多く働く社内では使いこなせないのではないか?そうした疑問を解消し、デジタル化のための正しい一歩目を提供できた時に、地方の中小企業でも一気にデジタル化の波が訪れ、”Why now”のタイミングがやってくると考えています。

あなたの考える”Why now”

成長する事業には、そのタイミングがとても大切になります。それは、そうなる時代を予測して準備を進めてきた結果として、適切なタイミングが訪れるという幸運を手にできると考えています。今がタイミングでは無い事業もあるかもしれません。常に未来を想像し、どんな状態がその事業にとっての”Why now”なのかを意識し続けていることが大切になります。

Why nowを語れる人は、そうなる未来を描いていた人です。あなたのWhy nowはどんなイメージでしょうか?時流を予測して、その変化に適応しながらあなたのタイミングを狙い続けていきましょう。

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