今回は”幹部社員が必要になるタイミング、現場リーダーが必要になるタイミング”について書いてみます。

会社の成長に応じて組織には必要な役割を作るタイミングがあります。

・社員数20名:幹部社員が必要になるタイミング
・社員数50名:現場のリーダーが必要になるタイミング

組織における課題とは、その組織を引っ張るリーダを生み出せるかどうかの課題とほぼイコールです。社員数が20名以下の組織の場合、社長が一人でも引っ張っていくことは可能です。表面上の組織図はあるものの、実質的には社長一人に全社員がフラットな状態となる鍋ブタ型の組織になります。20名から30名になる規模までは、外向きの仕事も社内の仕事も、基本は社長が引っ張り続ける必要があります。

幹部社員が必要なタイミング

会社が順調に成長していき、社員数も15名を超えて20名が見え始めたというタイミングから、幹部社員の育成が課題となります。組織はどんなに小さくても2:6:2の法則が働くと言われています。その優秀な2の中の特に優秀な2割が幹部候補になります。2割×2割で4%が組織における必要な幹部の人数だと考えてください。25名前後の社員数になると、社長以外に会社の事を真剣に考える事ができる社員が、25名×4%で一人必要です。

この規模の会社になると社長が、全ての現場、社員一人一人のケア、資金繰りなどの対策などを一人で対応するのは限界になります。人的なミスが多くなるのもこのタイミングです。それは社長一人では限界というアラートであり、早期に社内や現場を任せられる幹部社員を育成し、一部を任せていく必要があります。会社の方向性を示したり決断をするのは変わらずに社長の役割ですが、決めたことが責任を持って遂行されるかを指揮する役割を幹部社員に任せていきます。

幹部社員は業務執行役員

このタイミングでの幹部社員は業務執行役員としての立ち位置と考えると分かり易いかもしれません。社長が決定した方針に従って、それを現場で執行する責任を担う幹部です。大切なことは、社長の方向性や考え方を社長の次に共感していること。踏み込んで表現をすると、命懸けで会社のことを考える事ができる社員であることが大切です。社長が対応してきた業務の一部を責任と権限を委譲するので、当然その現場領域でのハイパーフォーマーである必要はあります。ただし、会社の方針や社長の考え方を理解していないハイパーフォマーであれば、幹部に据えるのは危険です。能力よりも共感度を重視しながら幹部社員を決定してください。

幹部社員は必ずしも創業メンバーとは限りません。社長への共感度が高くても、業務執行を執り仕切る能力が無ければ残念ですが幹部にはできません。感情論を抜きにして、1.会社への心酔度 2.業務執行能力 の2つの観点から幹部社員を選定してください。

現場リーダーが必要なタイミング

社員数が50名を超えてくると、幹部社員も50名×4%で2名は必要になります。組織としても、社長一人の鍋ブタ型から社長と幹部2名を中心とする改装型の組織を構成できる様になります。こうなると、それぞれの幹部社員の下にも20名前後の社員が配置される様になります。マネジメントの基本的な考え方として、一人のリーダーは7名以上のメンバーを管理できないというものがあります。カリスマ制のある社長であれば、一人で30名や50名の社員を見る事ができることもありますが、それは稀なケースです。業務執行能力が高い優秀な幹部であったとしても、20名の社員を見ることは難しくなります。

そこで次に現場のリーダーが必要になります。仮に15〜20名程度が部署に存在するとしたら、リーダーの人数は3名前後です。つまり、業務執行の責任を担う幹部の下に3名のリーダー。各リーダーの下に3〜7名以内のメンバーという構成で組織を編成していきます。この人数のバランスを意識できていると、会社として幹部社員やリーダーの育成タイミングが見えてきます。

チームを機能させるポイント

リーダーを核としたチーム制を機能させるためのポイントはいくつかあります。

・チームとしての目標を明確にする
・チームとして果たすべき責任と権限を明確にする
・リーダーとしての能力を向上させる

幹部社員が社長から委譲された業務を執行するに当たり、さらにその業務を細分化してチームに委譲していくことになります。全体を統括するのは幹部の役割ですが、その進捗を支えるのはリーダーの役割になります。全体を意識した部分最適を図り、その部分を全うするリーダーを配置していきます。リーダーとして果たすべき責任は明確な方が機能します。目標管理などが必要になるのはこのタイミングです。

リーダーとしては、目標達成能力が高いこと。メンバーの管理や育成ができること。会社の方向性を理解している事が大切です。特に目標に向けて現場を動かす能力が高い事が求められます。リーダーは一人ではできない業務をメンバーの力を結集して遂行していきます。目標に向かってメンバーの能力を引き出し、チームとして成果を最大化する能力を持っている社員をリーダーとしていきます。

一匹狼的ハイパーフォマーへの対処法

一匹狼的に能力を発揮する人材がいますが、それはリーダーとしては結果を出せないケースがあります。目標達成に向けた能力は高いのですが、その方法を人に伝え、協働して成果を挙げていくのが苦手な人が意外と多いのが、こうしたハイパーフォーマー層です。スペシャリスト枠などを設定して、その人が十分に能力を発揮し続けられる環境を作るのもの一つの方法です。苦手な領域を任せると、その組織から退職者が続出し、そのハイパーフォーマーのパフォーマンスも低下するという最悪の結果になることもあります。

まとめ

組織とは人数によって課題や打ち手が異なります。今回ご紹介した方法は、あくまでも一つの考え方です。ただ、こうした事を意識した上で、経営者のご相談をお聞きしていると、本当に当てはまる事が多いと感じます。ルールを分かっていたとしても、それを実施するのは人なので、予想もしない事が発生します。理屈通りに物事が運ぶことはありません。それでも考え方を持っておくことで、課題が発生した時に、その真因がどこにあるのかを分析することができます。真因が分かれば、課題を根治するための施策を検討することができます。理論を知っておくことは、とても大切だと感じます。

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