今日は”計画の精度を高めるPDCAの活用法”について書いてみます。

PDCAという言葉は誰もが知っています。ところが、これを上手に回せている中小企業はあまり多くはありません(あくまでも私見ですが)。そもそもPDCAのPである計画の立案が間違っているというケースがほとんどです。ただ、計画の精度を最初から高めることは難しいです。中小企業にとってのPDCAは、計画精度を高めていくことを目的に実施します。

Pに基づくDCAができない

PDCAサイクルを回せていない企業に共通することがあります。それはPに基づくDCAになっていないということです。今回は中小企業が知っておくべき大切なPに基づくDCAについて考えてみます。

中小企業では、このPDCAサイクルを目標達成のフレムーワークとして活用する事が多いのではないでしょうか。例えば、前年比50%アップなどの現状維持では達成できない目標を掲げて、実現に向けた計画を練り込みDCAサイクルを回すというようなケースです。

PDCAサイクルで重要なことは”Pに基づくDCA”です。とても当たり前なことの様に感じますが、この当たり前を本当に実現できていますか?年間売上目標に対して、それを実現するための計画を立てます。毎年精緻に計画を立案し、DCAのサイクルを的確に回している会社であれば達成する確率は高くなります。それでは精緻な計画を立案できるようになるためにどうすれば良いのでしょうか?

計画の立案精度を高めていくためにはトライ&エラーを繰り返す必要があります。このトライ&エラーを短い期間で行い計画の精度を高めるための手法がPDCAサイクルです。

PDCAサイクルの典型的な失敗パターン

ところが、このPDCAサイクルには典型的な失敗パターンがあります。それがPとDが分離するというパターンです。本来であれば計画に基づいた実行のはずですが、いざ現場に落とし込まれると計画は計画。実行はこれまで通りの活動となり、計画が無視されます。

目標に対して計画を立案したはずですが、計画そのものが曖昧だったり具体性が乏しい場合、現場での実行イメージとリンクしません。現場は現場の理論が優先され、計画通りの実行は蔑ろにされてしまいます。

それはチェックのタイミングで修正すれば良いのでは?と考えたかもしれません。このチェックのタイミングでは単純に予実の管理しかしていません。計画通りに実行したかどうかをチェックする事はありません。ここでも計画は無視され、目標が優先されるようになります。

これが多くの会社で発生しているPに基づかないDCAの真実です。仮に計画立案に時間をかけたとしても、このDCAの習慣ができていなければ、その計画は宝の持ち腐れです。

Pに基づくDCAを回すためのヒント

Pに基づくDCAを実現するためにはどうすれば良いのでしょうか?

”計画に基づく実行”を評価できる指標を事前に決める

例えば、売上目標に対する毎月の訪問件数や情報提供数。その結果としての見込み案件数など。誰もが分かる客観的な事実として数字でチェックができる評価指標を、計画立案時に決めます。数字で示す事で曖昧さがなくなります。そしてチェックのタイミングで、この事前に決めた評価指標を確認します。数字を見れば実行されたかどうかも一目瞭然となります。

計画に基づく実行もそうですが、計画に基づくチェックも機能していません。計画に基づいて実行していないので当たり前なのですが、計画立案の際に実行されたかを客観的にチェックする指標を決めていないことに問題があります。

PDCAの重要なポイントは”計画通りに実行されたか”をチェックすること

にあります。この”計画通りの実行”が大切です。チェックし計画を改善し、新たな活動に繋げるのですが、このチェックと改善を機能させるための絶対条件が”計画通りの実行”です。

計画通りの実行で分かること

計画通りに実行することで”計画の良し悪し”が分かります。計画通りに実行しているのに成果に繋がらないとすれば、それは計画に誤りがあります。目標を修正しないのであれば、実行計画を修正が必要です。

計画通りに実行する事で、計画の精度が分かってきます。計画通りに実行した結果に対する改善を繰り返す事で、計画立案の精度が上がっていきます。計画立案時には見えていなかったことなども、計画通りの実行を徹底することで分析できます。このチェックで行ったフィードバックが計画に反映され続ける事で計画の精度は高まります。

PDCAが回らない理由と回すためのポイント整理

これは私の経験ですが、中小企業でPDCAが回らない理由は3つあります。

・計画を忘れること
・計画通りに実行されたかをチェックする指標が無いこと
・計画通りの実行で成果が出なくても改善しないこと

結果としては初期の計画の精度が低いから、それ以降が機能しないのは事実です。PDCAサイクルが計画のレベルアップを目的としているとしたら、このサイクルを回さない以上、計画の精度も上がっていきません。

計画の精度が上がらなければ、毎年無意味な計画を立て続けることになります。PDCAを回すためのポイントを整理します。

・計画したらその通りに実行する
・実行を客観的な事実としてチェックできる指標を作る
・計画通りに実行した結果が計画通りの成果に繋がらない場合
 その原因を分析して計画を改善する

これがPDCAの基本ですとお叱りを受けそうですが、この基本を徹底できている会社は案外と少ないです。毎回のミーティングで、計画通りの実行を客観的な指標で振り返っていますか?仮に計画通りの実行を行っても成果が出ていない場合、個人を詰める動きになっていませんか?成果が出ない。計画通りに実行ができない、というのは”計画”が甘い事に原因があります。実行したことによって発生している現場の事象と向き合い、それが計画の甘さによって引き起こされている事だと考えて改善する。それを徹底できた時に、PDCAサイクルは正しく回るようになります。

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