今日は” 課題解決をするために知っておくべき2つの間違い”について書いてみます。

提案活動にある2つの間違い

提案活動はどんな人にとっても必要なスキルです。顧客の課題を把握し、その解決策を提示できる人は有用な人材となります。一方で、この課題解決という活動には大きな2つの間違いがあります。それは

・顧客は課題を知らない
・顧客は解決策を知らない

という事です。この事を理解していなければ、課題解決をする提案活動はできません。

”顧客の課題”という言葉。これはミスリードを発生させる言葉です。顧客は課題を認識していません。顧客が分かっているのは”不”です。

・不満
・不便
・不快
・不足

最近では”ペイン=痛み”と表現するケースもありますが、顧客は”不”は知っています。この”不”を顧客から引き出すことは大切です。その”不”は、本質的な課題から起因して現れている現象の結果であり、そこに気づき解決策を提示できるかどうかが、提案できるかどうかの分かれ目だからです。

ところがこの”本質的な課題”には、顧客は気付いていません。課題を顧客にヒアリングして、それを整理して提案をする。一見すると正しい様に感じますが本当でしょうか?顧客にヒアリングして分かることは”現状への不”です。決して課題ではありません。現状の不を集めて、その解決策を提示したとしても、それは対処療法でしかありません。問題は根治されず、課題は残ったままの状態となります。

「課題を教えてください」
「お困りごとは何ですか?」

この質問の前提は、”(現状を正として場合の)課題”を確認することです。課題解決の本質とは何でしょうか?それは”現状を疑う”ことです。顧客が気付いていない本質的課題を示す事です。課題がどこにあるのかをヒアリングし続けても、顧客から答えを引き出すことはできません。

”顧客は課題を知らない、気付かない”

ヒアリングを行う前提で、頭に入れておくべき大切なキーワードです。顧客にとって日々の業務は当たり前の常識です。その常識に染まっていると、そこに疑問を感じることはありません。

「あなたは幸せですか?」と質問をされると、初めて自分が幸せかどうかを考えますが、その問いが浮かんでいない状態が”幸せ”という考え方があります。同じように”課題を認識していない状態”が顧客にとっての”日常”です。

日常的な習慣や常識というのは、その中で活動する人の視野を狭めていきます。動物的な本能として人は変化を嫌う傾向があります。その行為自体が本当は非効率だったとしても、安全な習慣を変えることの方が”痛み”と感じます。

社内改革を断行する際に、現場が反対するという声をよく聞きます。色々な意見はありますが、本質的には”変化=痛み”ですから、そこからの逃避です。改革を成功させるためには強いリーダーシップが必要です。その変革に逆らうことの方が、より強い痛みがあると認識させる必要があります。それほど強固に現状を守るのが人(=動物)だと考えると、顧客が日常に課題を発見できないというのは、当たり前です。

ただし、顧客の声を集めることは間違いではありません。”顧客の置かれている現状を正しく理解する”事が目的であれば最適です。顧客が感じている”不”を理解し、その”不”を生み出している本質的な課題がどこにあるのかを考える。その為には前提となっている”現状”を知る事は第一歩目です。

”顧客は解決策を知らない”

課題解決をする上で押さえておくべきもう一つの肝があります。それは”ゴールはこちらが提示”すること。顧客は現状という常識に縛られています。その結果、どうしても現状を前提とした発想になります。その日常にはびこる常識を打ち破るような解決策は生み出せません。より正確には”イメージができない”と考える方が正しいかもしれません。

提案する側の重要な役割が、顧客が思いもしていない解決策を提示し、顧客の視野を広げる事にあります。注意すべきこととしては、提案の内容が顧客が想像していない事であったとしても、提案の方向性(目指すべきゴール)は顧客が理想とする状態を示している必要はあります。

この方向性というのは、課題解決の方向性ではありません。もっと抽象度の高い経営者が示している会社としの方向性です。会社として実現したい方向性を実現する為の思いもしていなかった解決策を示すこと。そんな方法があったのか、と視野が広がった瞬間から、前提となっている現状が”痛み”に見えるようになります。痛みからは逃避するというのは生存本能です。大きな方向性として間違いが無ければ、その手段はより痛みが少ない方向性を選択する事になります。

まとめ

ソリューション営業やコンサルティング営業など、課題解決をする営業には様々な呼び名があります。ヒアリングの作法や提案書の書き方、プレゼンテーションの方法などはよく目にします。ただ、そうしたスキルを身につけても上手くいかない事があります。それは課題解決の本質が分かっていない可能性があります。

”顧客は課題を知らない””顧客は解決策を知らない”。この2つを常に頭に入れながら課題解決に取り組んでみてください。これまでとは違った観点で顧客を知る事ができるかもしれません。

TOP