今回は”マネージャーが次のマネージャーを育てる!中小企業が悩む管理者の役割”について書いてみます。

マネージャーが育たないと困る理由

マネージャーの最も重要な業務に部下育成があります。社員数が20名を超えて会社が成長する過程では、部下が成長して新たなマネージャーが誕生しなければ組織を大きくしていくことができません。

一人の管理者で面倒を見ることができる人数には限りがあります。一般的には7名以上の部下を見ることはできないと言われています。仮に10名のメンバーがいる組織があったとしたら、そのチームを率いるトップとその下に二人のサブリーダーを配置して、その配下に3〜4名のメンバーが配置されるという構図になります。

メンバー以外を管理者と考えると、この時点で3名の管理者が育っていなければいけない計算になります。これは組織上の形式的なマネージャーの人数ではなく、任されたミッションをメンバーを生かしながら達成するマネージャーです。

マネージャーの役割とは

マネージャーの役割は、会社から託されたミッションを会社やチームのリソースを活かしながら達成することですが、そこにもう一つ。冒頭でもお話した会社が成長をするために不可欠なメンバー育成が大切な役割となります。

メンバー育成と一言で言っても、何を最終的な目的とするのでしょうか。分かり易く表現するのであれば、自分の代わりにマネージャーになれる人材を育成することがマネージャーの最終目的です。組織が硬直するのはマネージャーが不足している時です。

階層型であってもチーム型の組織でも、部課長やリーダーのように、その組織をマネジメントできるマネージャーは必要です。マネージャーは自分の代わりになれる次のマネージャーを育成することで、会社としては組織を大きくできます。特定の仕事で成果を出すメンバーを育成することは素晴らしいですが、その人がプレイヤーではなくマネージャーとして活躍できる様に育てる事が、本当の意味でのマネージャーの役割です。

マネージャーのメンバー育成ステップ

ここからは育成について整理をします。育成にもいくつかのステップがあります。職種によって違いはあるかもしれませんが、”成長=より多くの人と協力しながら大きな仕事を遂行できる能力”と定義し、次のマネージャーを育成するという観点で整理をしてみます。

・一人で業務を対応することができる
・周囲の人と協力しながら業務を遂行することができる
・リーダーとなって業務を取り仕切ることができる

まずは一人で限られた業務に対応できること。これを一人前と定義し、一人前になるまでの業務ステップを明確にしていきます。例えば営業であれば、最初は自社商品の説明をできるようにする。次に先輩と同行してお客様の前で商品説明ができること。次に一人で訪問し商品説明からヒアリングを行い、案件を作ってくることなど。チームにある業務を細分化し、業務をステップ化していきます。

一人で対応できる業務をミスなく遂行できる様になったら、次にチームの一員として周囲の人と協力しながら業務を対応する方法を覚えていきます。小さな目のプロジェクトのメンバーにして、他人と調整をしながら業務を進めるポイントを覚えていきます。報連相の仕方やタイミング。コミュニケーションの取り方や周囲に合わせた仕事の進め方など、一人の時では経験しないことが多くあります。

最後にメンバーではなく自分がリーダーとなってプロジェクトを進め、成果を上げる方法を学びます。リーダーになれば、そのプロジェクトのミッションに対してメンバーの能力をどう活かすのか。組織運営の基本的な事を学ぶことができます。リーダーとして一定の成果が出せるようにマネージャーはフォローします。一人でプロジェクトを回して成果を出せる様になれば、恐らくはマネジメントの能力が付いています。あとはそのメンバーが自分と同格のマネージャーになれるようにサポートしていきます。

プレイングマネージャーが陥る葛藤

まだまだ小さな組織の時には、こうしたメンバー育成に対する葛藤が生まれます。特にプレイヤーとしての能力が高い人が請われてマネージャーになったケースでは、この葛藤が色濃く出ます。メンバー育成の典型的な葛藤として次のポイントがあります。

・メンバーではなく、まだまだ自分がプレイヤーとして活躍したい
・メンバー育成をする事で自分の仕事が奪われる感覚になる

マネージャーはプレイヤーよりも輝けない。特にバリバリとプレイヤーとして活躍していた人ほど、こうしたマインドを持っています。マネージャーになるというのは、ある意味では一線から退いてメンバーの能力を生かして、より大きな目標を達成することになるので、表舞台での活躍という意味ではそう感じるのも頷けます。

会社としては、マネージャーになる事が給与面以上に素晴らしいことだ伝える事が大切になります。また、マネージャーになって貰う人に対しても、マネージャーに対する誤解を解く必要があります。

「マネージャーとは一人では限界があった目標をメンバーの力を活かしながら達成していくという、一人で動くよりも難易度が高い仕事」

これをしっかりと説明し、マネージャーにはマネージャーとしての輝き方があると理解して貰います。より難しい業務をお願いできるのは、あなたしかいない。これまでの実績では通用しない新しい挑戦の領域で活躍して欲しいと伝えます。ここでプレイヤーとしての自分と訣別し、マネージャーとしての新たな挑戦に意識を向けて貰えたら、組織は機能し始めます。

まとめ

中小企業の場合、その業務で一定の成果を上げた社員を管理者に登用するケースが多くあります。ところが、マネージャーとは何をする人なのか?何を期待されており、どう振る舞う事が正解なのかを教えているケースはあまり多くはありません。個人事業主が社員を雇って会社になるように、プレイヤーではなくマネージャーになるというのは、それまでは異なる観点で活躍して貰う必要があります。

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