今回は”経営者が、これから5年の不景気マーケットに対応するために意識するべき4つのこと”について書いてみます。

これから5年。。。不景気対応が求められる

いよいよ日本では不景気のサイクルに入ります。これから5年程度は不景気を意識した対策を念頭に入れた経営が求められます。コロナ自粛明けの瞬間的な景気の戻しはあるかもしれませんが、すでに原価の高騰や部品などの調達不足から受注をしても納品できないという現象が発生しています。売り上げが上がらない。または原価高騰で粗利が減少する。こうした状況から、先行きに対する不安感が増し、日本全体に不景気ムードが蔓延していくと考えられます。

ブラックフライデーなど、一時的な消費を高める動きはあります。ただ、全体としてはSDGsなどのブームもあり、大量消費・大量廃棄なビジネスはやめようというムーブメントが起きています。リサイクルやリメイク、アップサイクルなど循環型がキーワードとなり、新しく物を買うという意識が減退していきます。これも不景気マーケットの特徴の一つですが、それが社会現象として正当化される状況となっています。

またコロナによって内食生活も習慣となっています。自粛明けで一時的に外食も戻りつつありますが、コロナの変異株問題でまた流行の兆しが見えれば、一気に行動が抑制されることも考えられます。

中長期の時流で考えると不景気のサイクルに入っていますので、その心理に沿った戦略を考える必要があります。今回は4つのポイントで整理していきます。

煽りはやめる

ポイント1:煽って不安を掻き立てるマーケティングはやめる

市場全体が不安の心理になります。これ以降は不安を煽るのではなく、安心に変えるマーケティングが必要になります。潜在的に不安の解消がニーズとなります。「まだできていないのですか?」ではなく、「今からでも間に合います」という言葉で、安心を訴求することに意識を向けます。

例えば保険的なサービスや保守メンテナンス。セキュリティ系のサービスなど、不安を煽り、サービス導入のきっかけを作るマーケティングを活用しているケースがあります。この5年は、不安を安心に変える方向性で読み替えていく必要があります。

顧客リストを見直す

ポイント2:固定客化を徹底する

不安とは先行きが見えない事が原因で発生します。その根本にはお金の問題が存在しており、なるべくお金を手元に置いておきたいという欲求が生まれます。今はサブスクなどの月額払いが主流となっていますが、不景気になるとこうした毎月の支払いよりも、スポットで一括で支払う方に人の意識は向くようになります。将来のお金ではなく、見えているお金の中で対策をする傾向が強くなるのが不景気型の特徴です。

一般的には習慣的に利用している月額払いのサービスは、よほどの事が無い限り使い続けるのですが、不景気のタイミングだけは違います。全体のコストを見直すという意思決定がされ易いのが不景気の特徴であり、こうなると切り易いものから順番に契約が解除されていきます。

あまり頻度高く使っていないサブスクサービス。安心を買っている保守契約など。投資に見合ったリターンを明示的に感じられないものは、削減対象となります。顧客リストを見直し、もしも顧客に対して価値を体感できるアクションを起こしていない場合は、何らかの形で示していく必要があります。

優秀な人材をケアする

ポイント3:優秀な人材の流出を防ぐ

不景気になると、そこで働く社員も不安が蔓延します。会社に対する不信があった場合、このタイミングで顕在化する危険性もあります。今や人手不足の時代に入っており、優秀な人材であれば比較的簡単に転職することが可能です。不景気では優秀な人材ほど動き易くなると考え、そうした人材の定着に向けた働きかけを積極的に行います。

反対に他社から優秀な人材が流出するのも不景気の特徴です。待遇面の不満などを抱えて転職を考えている人材が出てきますので、このタイミングでそうした優秀な中途人材を確保するというのも戦略の一つです。

大きな案件ほどアラート

ポイント4:複数年にまたがるプロジェクト、大きな案件には注意する

不景気になると、簡単にプロジェクトが凍結します。注意をしておく必要があるのは、越年するプロジェクトです。この場合、フェーズを細かく分けて、その単位で回収できる契約を前提とする事です。また、大規模プロジェクトも景気の動向によって途中でストップがかかる事があります。提案する側も、越年や大規模にならなずに、フェーズを分け、単年度で完了していけるようなプロジェクトの提案を心掛ける必要があります。

まとめ

これからの5年で注意するべきことを整理してみました。どれもすぐに対応することができることだと思います。景気は循環します。好景気には好景気の、不景気には不景気の対処方法があります。商品の見せ方、提案の仕方。顧客との接し方や社員への意識。それを徹底できるかどうかで、5年間の結果は大きく変わります。

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