今回は”経営者の決断を左右する感情。。ネガティブ感情の時に注意すべきこと”について書いてみます。

経営者と日々接していると、当たり前ですが公私共にさまざまな課題に直面します。それは経営者に限らないことだと思いますが、会社が成長するに従って、その課題の難易度や頻度が高くなっていきます。こうした経験を繰り返していくことで、経営者は人間性が磨かれていきます。

ウィークポイントを突かれる意外な理由

経営者は人間性を高める最高の職業であると、前職で教えられました。それは今の経営者の背中を押す”あとおし”というサービスを通じて、経営者の人生に深く接するようになって、より分かるようになってきました。

経営者は何故か、ウィークポイントから課題を突きつけられることが多いと感じます。それはお金の話かもしれませんし、人間関係かもしれません。家族の問題かもしれませんし、健康面の話かもしれません。ただ、いずれにしても、経営者にとっての弱点を突かれることが多いと感じます。

この弱点を突かれるとどうなるのでしょうか。そこには感情が入ることになります。課題に直面した際、どれだけ経営者自身が冷静になれるかが重要です。日々決断をし続けている経営者にとって、決断するという行為自体は本質的には得意です。冷静に状況を把握できるのであれば、間違った決断をするという可能性は低くなります。

ところが、この感情が前に立つようになると、冷静な判断ができなくなります。その様な状況で決断したことには失敗のリスクが付き纏います。自分が感情的になっている。感情を揺り動かされていると感じた時には、即断することをせずに、周囲に相談することで冷静さを取り戻すことが必要です。

2つの感情を理解する

感情には2つあります。

・ポジティブな感情
・ネガティブな感情

経営者は事業意欲が高く、イメージに近い形で成長ができている時には、ワクワクする方向で思い切った決断をしても失敗はしません。思わぬ幸運を引き寄せたりするのですが、こうした時のワクワクなどの感情は、ポジティブです。こうしたポジティブな感情の時には、即断しても問題はありません。

問題なのはネガティブな感情の時です。恨み・嫉妬・イライラ・執着・焦りなど。色々な感情があるかと思いますが、こうしたタイミングでやってくる課題や上手い話には、ワクワクしても即断してはいけません。そこには、さらに大きな課題が待っている危険性があります。

経営者は人間性を高めるために試されている

すべては必要・必然であり、そうした感情の時に訪れる課題や儲け話は、経営者の人間性を試す試練の場であると考えた方が良いでしょう。冷静さを欠いた状態で決断をしてしまわないように、どんな状況においても感情をコントロールできるかどうか。瞬間的に心が動いたとしても、それを修正して正しい決断を下せるかどうか。それを試すために、このウィークポイントを突いた課題が定期的にやってきます。

経営者は、そうした感情になった場合は「これは試されている」と考える習慣を身につけましょう。感情に支配される中での即断はしない。ネガティブな感情の原因となっていることを俯瞰して把握する。その上で、感情との折り合いを付けてから、再度その課題や上手い話と向き合う様にしてください。

すると、ネガティブな感情の時には見えなかった潜在的なリスクに気付くことができます。ネガティブな感情は経営者の視野を狭くします。感情を揺り動かされている原因に囚われてしまうので、それ以上のことに意識を向けることができなくなります。感情による視野狭窄によって、リスクのある決断をしてしまうことになります。

経営者は決断業です。事業の方向性を示し、会社の未来を創造できるのは唯一、経営者しかいません。だからこそ、日々決断の連続であり、その決断が未来を創造していきます。経営者は人間性を一番磨ける職業だからこそ、経営者にとってのウィークポイントを通じて、試される経験を繰り返すことになります。

ネガティブな感情への対処法

感情がネガティブに動いた時の対応方法です。

即断はしない
試されていると思い込む
冷静になれる時間を作る
感情が動いた原因を見つける
原因と向き合い乗り越える
(可能であれば誰かに話す)

もしも今、ネガティブな感情がありながら何かを決断しようとしているのであれば、冷静になりましょう。その決断にはリスクが潜んでいる可能性があります。経営者はネガティブな感情は支配し、ポジティブな感情には支配されることで決断のスピードが上がります。感情は決断のバロメーターになります。

経営にはロジックは不可欠です。それと同じくらい重要なことは、経営者が持つ感性を磨き続けることです。その時に意識することが感情です。一度自分の感情を冷静に分析してください。きっとネガティブな感情で決断したことは、あまり上手くいっていないはずです。

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