今回は” 「幹部社員が期待通りに動かない」は社長へのアラート!そう思った時に注意すべきこと”について書いてみます。

ポジションを与えたら、その役割を演じるように人は成長する。これは確かにある事です。期待される役割が変わり、本人もそれを自覚することで意識と行動が変わり、それが成長につながります。周囲からの眼も変わることで、接し方も変化します。そうした内外面の両面の変化から、ポジションが人のステージを引き上げるというのはあり得る話です。

ただし、ポジションが勝手に人を成長させるのか?と言われたら、ここには疑問があります。社長とお話をしている中で、幹部社員が期待通りには動いてくれないという相談を受けることが多くあります。この課題を抱えている社長には共通することがあります。

・社長が何を期待しているかが十分に伝わっていない
・役職は与えているが具体的な業務を渡していない
・幹部社員を徐々に育てていくという感覚が薄い

一つ目の共通点ですが、この”期待”という言葉は厄介です。2つ目の業務を渡すこととも絡みますが、幹部社員がどうして必要なのか。そのことを明確にしておく必要があります。

目次

  1. 4%ルール
  2. 幹部社員が必要なタイミング
  3. イラッとしたらアラート!

4%ルール

幹部社員には4%ルールがあります。

幹部社員数=社員数×4%

例えば、10名の会社であれば、”10名×4%=0.4名”となり、幹部社員は不要と分かります。この計算に従うと、凡そ25名を超えた社員数になると、社長一人の裁量では社内全てを見通すことが難しくなるため、右腕となって社長の役割を一部対応する幹部の存在が必要になります。

社員数が30名前後になると入社と退社の社員数が拮抗し、社員数という観点では成長が停滞することがあります。これは任せるべき幹部社員が育ちきっておらず、結果としては社長が見通せる範囲の規模で止まってしまうことが要因となります。

つまり、幹部社員は社長一人では組織全般を見通すことが難しいことから、成長するために必然的に必要になります。社員数25名を超える規模の会社になると、社長自身は現場の仕事から離れ、社内だけではなく社外の人間関係も多くなります。社長が現場から離れるため、現場の品質が落ちたり、成約率が落ち始めるのも、このタイミングです。

マーケティング面、営業面、商品面、品質面などビジネスモデルを見直すのも、このタイミングになります。合わせて、社員数が増えてくると社員の評価について公平性や納得性が求められる様になります。社長が不在の時が多くなり、それまでは社長が決めることが一番納得性が高かった評価に、社員からの不満が出るようになります。30名から50名前後の社員数になると、評価制度作りなどルールに基づく公平性が求められるようになります。

幹部社員が必要なタイミング

幹部社員が必要になるタイミングというのは、会社が本当の意味で組織化を求めらるタイミングになります。ビジネスを仕組み化しながら、組織化を並行で進めていく同時進行を行う必要があり、社長一人で全てを対応するのは難しくなります。

社長としては幹部に、そうした諸々の状況を一緒に解決して欲しいと願うのですが、いきなりそのレベルで対応できる幹部社員というのは中々いません。だからこそ、まずは何をして欲しいのか。どんなことを期待しているのかを伝えていく必要があります。

社長である自分は何を行い、幹部であるあなたには何をして欲しいのか。特に会社を仕組み化していくタイミングの会社における幹部社員には、どの領域を担当して貰いたいのかを明確に伝える必要があります。

そして何よりも大切なことは、幹部社員も少しずつ成長していくという理解を持つことです。社内でも優秀な社員で、会社の理念にも共感している社員を幹部として登用するこケースは多いと考えます。優秀な社員なので、幹部としても即戦力として活躍してくれると過剰な期待をしてしまいます。ところが、やはり社員としての立ち位置と会社の経営陣としての立ち位置は異なります。

いきなり社長と同じような視点で物事を見たり、意思決定したりはできません。過剰な期待は裏切られたという気持ちを喚起し、結果として幹部への不満を高めてしまいます。

イラッとしたらアラート!

幹部からの報告や会議で何かイラッとしたタイミングがあれば、その感情が動いた内容を書き留め、その事を冷静なタイミングで幹部と共有してください。「そんな事くらいで報告するな」「その報告で俺にどうして欲しいの?」こうした感情になることはよくあります。しかし、幹部社員はどこまでを自分で判断し、何を報告したら良いのかが分かりません。

幹部も徐々に成長する。その事を意識する事で、幹部との対話でストレスを感じることが少なくなります。イラッとした=まだ教えていないことがある。そう考えることができたら、幹部の成長は早くなります。

幹部に期待通りに成長して貰うためには、何を期待しているのか。どんな業務を担当して欲しいのかを伝えること。徐々にしか幹部も成長しないと考え、伝え続けることです。期待通りに動かない。。と感じたら、この事を思い出してみてください。

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