今日は”数字を使ってチームを一体化する方法”について書いてみます。

数字をチームでのコミュニケーションの基本にする

数字は、現場の動きを作るための最高のガソリンです。数字で語るから感覚的なすれ違いが無くなり、事実に基づく意思決定ができるようになります。ある市場縮小が確実な業界のサポートを、同時に5社対応しています。中長期的にも市場はダウントレードであり、今後も厳しい環境が続くことが明確な業界です。

まだ締まってはいませんが、それでも5社中4社は前年を超える実績が出せそうな状態まできました。1社はコロナによる逆風が強く、前年の数字を維持するのも厳しい状況ですが、明かりは見え始めています。期のスタート当初は見えない状況が続きましたが、すべての会社で共通したことは数値をベースに語ること。数字を個人ではなくチームの目標として共有すること。

業績が落ち始めた、環境が激変してこれまでの方法論が通用しなくなってきた。そうした不調な状況が続く時ほど数字を基本としたチーム一体化に向けたコミュニケーションが大切になります。

事実を数字で、テンションは感覚で

これは以前の投稿でも書きましたが、数字を個人に背負わせて、それをプレッシャーにお尻を叩く鼓舞型の管理ではなく、それをチームで達成するべき目標として、全員の達成目標とする共生型の管理をします。チームメンバーが多くなると、今のチーム状況を客観的に把握する必要があります。そのために数字を活用します。

頑張っているかどうか。チーム状況として良い状態を維持できているかどうか。こうした感覚的な視点は、チームの雰囲気を作り、テンションを維持していくためには重要になります。すべてを数字で管理してしまうと、そのチーム自体はドライになっていきます。事実は数字で確認し、チームの一体化は感覚的な要素で補っていく。このバランスがチームを目標達成に導くために大切な要素だと考えています。

それでは、数字を活用した現場で動きを作るために必要なことは何でしょうか。少し整理してみましょう。

数字を活用するためのポイント

・管理することで結果が改善できる数値を特定する(KPI)
・過去の数字を分析し基準値を設定する
・数字に従い状態を管理する
・異常を数字で検知したら原因特定と改善のための行動計画を検討する

数字が厄介な理由がいくつかあります。その一つに会社には無数に数字があるということが挙げられます。営業に関わる数字でも、初回面談数や次回アポ獲得率、平均商談回数や平均商談期間など、数字で表現できる項目は無数に存在します。そのどれが結果を改善するのに最も重要なのかを特定する事が大切になります。

営業会議などでも、たくさんの数字を並べて複雑になっているケースと、売上などのシンプルな数字だけしか並んでいないケースの両極端になっている事が多くあります。チームで目標管理を行なっていく上では、なるべく効果の高い全員で共有して意味のある数字に絞り込む事が大切になります。できれば3つ以内に絞り込む方が良いでしょう。5つ以上の数字になると覚えられません。覚えられない数字は意識にも残りませんし、行動の改善にも繋がりません。

数字を特定する際のポイントは、結果に大きく影響する数字を見つけ出す事です。そのためには、受注までの商談プロセスを因数分解し、その中で受注率に大きな影響を与える数字を検討していきます。先の事例の業界では、再来店をした顧客の商談発生率が高い事が特定でき、結果として再来店を軸とした数字の管理を徹底しました。

基準が分かれば改善できる

再来店率という管理すべき数字を特定すると同時に、過去の分析から基準値を設定します。先の事例では、再来店率の平均が40%で再来店顧客の商談発生率は70%となっていました。初回来店のみの顧客の商談発生率が30%だったので、いかに再来店が重要かが分かります。

こうした基準が明確になっていると、その基準に従ってチーム状況を客観的に把握できます。頑張っている。全員が毎日一生懸命にやっている。それが成果に結びついていない。これを繰り返すと疲弊し、いつまでもテンションを維持し続けることが難しくなります。成果が出ていないのは、KPIと特定した数字が基準値よりも下回っている事が原因となっています。

例えば、再来店率が20%だったとすれば、基準値の半分程度しか達成できていません。再来店に繋がっていない原因がどこにあるかを徹底して検討します。すると、例えば初回来店顧客に対して、再来店を促すクロージングや再来店理由を提示できていない。または徹底できていないという初歩的な課題が発見できます。

原因が特定できたら改善行動を整理し実行します。管理すべき数字は再来店率なので、全員の意識はシンプルになります。初回来店顧客に徹底して再来店を促す働きかけを行うこと。それをより自然に、顧客にプレッシャーをかけるのではなく、売り込み色を薄くする方向性で。。。と微改善が繰り返されるようになります。結果として、KPIの数字が基準値に近づき、結果が付いてくるようになります。

これからは、個々人のパフォーマンスだけで成果を出し続ける時代ではなくなっていると感じます。チームでいかに成果を出すか。その為には、チームで共有できる数字を特定し、それをベースに改善が行われる組織を作っていく必要があります。

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